【自閉症スペクトラム(発達障害)】3年分の遡及請求が認められ障害基礎年金を受給
目次
本事例の基本情報と受給結果
地域の支援機関からのご紹介で、20代女性(自閉症スペクトラム・強迫性障害・てんかん)の申請をサポートいたしました。小児期の受診を初診日として証明し、20歳にさかのぼっての「遡及請求」が認められ、障害基礎年金2級を受給できた事例です。
当事務所にてサポートさせていただき、無事に障害年金の受給が決定したお客様の事例をご紹介いたします。
今回は、ご本人様が通所されている地域の支援機関(福祉施設)からのご紹介をきっかけにご縁をいただきました。初回のご面談にはお母様にもご同席いただき、ご本人様・ご家族様・支援機関の皆様と連携しながらのサポートがスタートしました。
ご相談者様の基本情報
| 年代・性別 | 20代・女性 |
|---|---|
| 対象となる主病名 | 自閉症スペクトラム障害(ASD) |
| 併存疾患・既往症 | 強迫性障害、てんかん |
| 決定した年金と等級 | 障害基礎年金 2級 |
| 制度上のポイント | ・20歳前傷病による申請 ・障害認定日(20歳時)への遡及請求(過去分の受給) ・病名変更を伴う初診日の特定 |
| 現在の就労状況 | 一般就労なし |
ポイント①:小児期の強迫性障害を「初診日」として証明(病名変更・20歳前傷病)
現在のASDと診断される前、小児期に「強迫性障害」として受診していた記録を初診日として特定。発達障害の成長過程における症状変化として医学的相当因果関係を証明し、「20歳前傷病」の要件を満たしました。
【小児期】
「強迫性障害」として初診
⬇
【20歳到達】
障害認定日(※この時点にさかのぼって遡及請求)
⬇
【現在(請求時)】
自閉症スペクトラム(ASD)・てんかん
└ 最初の受診を「初診日」として立証し、20歳から現在までの年金受給が決定! ┘
病名が変わっても、医学的因果関係があれば初診日は繋がります
ご相談者様は現在「自閉症スペクトラム(ASD)」として通院されていましたが、小児期に「強迫性障害」の症状で医療機関を受診されていました。
発達障害の特性として、小児期には別の症状(強迫症状や不眠など)が強く表れることがあり、成長過程における症状変化として「医学的な相当因果関係」が認められるケースがあります。当時の受診状況を整理し、小児期の受診を起点とする「20歳前傷病」として年金事務所へ正しく証明を行うことができました。
「うちの子も小児期に別の病名で通院していたけれど、初診日になるのかな?」
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ポイント②:主治医との連携資料
過去に転院や入院歴がある状況でしたが、現在の主治医の先生へ「ご自宅での生活の困難さ」を整理した参考資料をお渡しし、実態に即した適切な診断書を作成していただけるよう橋渡しを行いました。
言語化が難しい「生活の困難さ」をサポート
ご相談者様はこれまで、何度かの転院や入院をご経験されていました。当事務所では、ご面談でお伺いしたご自宅での様子を障害年金の審査の視点で整理し、「主治医向け参考資料」を作成しました。
この資料をお渡しすることで、主治医の先生にも実態を正確にご理解いただき、現在の症状を適切に反映した診断書をご作成いただくことができました。医療機関の皆様の多大なるご協力あっての受給決定であり、深く感謝申し上げます。
ポイント③:ご家族(お母様)の視点を活かした「病歴・就労状況等申立書」の作成
ご本人様だけでは症状を客観的に伝えることが難しい中、お母様にご同席いただきヒアリングを実施。完成した申立書をお母様の視点でもご確認いただき、生活のリアルな実態を審査官に伝えました。
ご家族ならではの「客観的な記録」が大きな力に
障害年金の申請に必要な『病歴・就労状況等申立書』ですが、発達障害の場合、ご本人様にとっては「その状態が当たり前」となっているため、ご自身で不便さや異常を認識して文章にすることが難しいケースが多々あります。
今回の手続きでは、同席いただいたお母様から、一番近くで見守ってこられたからこそ分かるリアルなエピソードを時系列でお伺いしました。
当事務所でそのお話を形にまとめ上げた後、事前にお母様にも事実の認識にズレや抜け漏れがないかをご自身の目線でご確認していただきました。
この「ご家族の切実な視点」が盛り込まれたことで、20歳当時のご状態(遡及請求)と現在のご状態の双方が審査官に説得力を持って伝わり、2級認定へと結びついたと感じております。
🌸 担当社労士より(サポートを終えて)
日々のサポートを通じて、発達障害や精神疾患でご相談に来られる若い方々は、ひたむきで一生懸命な方が多いと実感しています。
障害年金が、少しでも経済的な不安を和らげる「お守り」になれば幸いです。ご本人が心から安心できる環境で、ご自身のペースで本来の力を発揮していかれることを、陰ながら応援しております。
障害年金についてのよくあるご質問(事例編)
自閉症スペクトラム・20歳前傷病の事例に関連して、よくいただくご質問(ご家族の同席、過去にさかのぼっての請求、途中で病名が変わった場合など)について解説いたします。
Q. 本人がうまく話せるか不安です。面談に家族が同席してもよいですか?
A. はい、もちろん大歓迎です。発達障害や精神疾患のご相談では、ご本人様のご負担を減らし、客観的なご状況を正しく把握するためにも、親御様や配偶者様にご同席いただくケースが非常に多くございます。リラックスできる環境でお話を伺います。
Q. 今回の「遡及請求(そきゅうせいきゅう)」とは何ですか?
A. 障害認定日(今回の場合は20歳の誕生日前日)にさかのぼって障害の状態が認定された場合、過去に受け取れるはずだった年金を一時金としてまとめて受給できる制度のことです。当時の診断書や客観的な記録が必要になるため、慎重な書類作成が求められます。
Q. 昔は別の病名で通院していましたが、それでも申請できますか?
A. 申請できる可能性が十分にあります。精神疾患の場合、当初は別の病名で診断され、後に「自閉症スペクトラム」や「うつ病」と確定診断が出るケースはよくあります。症状に因果関係が認められれば、最初の受診日を初診日として扱うことができます。
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この記事を書いた人:神尾 愛(社会保険労務士)
上野・錦糸町・北区エリアを中心に活動する障害年金専門の社労士。「えがお」をモットーに、複雑な制度をわかりやすく解説し、申請の代行を行っています。地域の勉強会や相談会も定期的に開催中。一人で悩まず、まずはお声がけください。


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