傷病手当金と障害年金は両方もらえますか?
A. 同じ病気やケガの場合、全額を両方同時に受け取ることはできません。金額に応じた「併給調整(減額)」が行われます。
現在、会社を休職して健康保険から「傷病手当金」を受給されている方から、「障害年金も一緒にもらえるのか」というご相談を非常によくいただきます。結論から申し上げますと、同じ病気・ケガが原因である場合、両方を満額同時に受け取ることはできず、障害年金が優先され、傷病手当金はその分減額(または支給停止)される「併給調整」がかかります。
知っておきたい「併給調整」の基本ルール
傷病手当金と障害年金の「重複する期間」については、以下のような調整が行われます。
- 障害年金の方が金額が高い場合: 障害年金は満額支給され、傷病手当金は全額支給停止となります。
- 傷病手当金の方が金額が高い場合: 障害年金は満額支給され、傷病手当金は「障害年金との差額分」だけが支給されます。
どちらのケースでも、結果として手元に入る総額は「金額が高い方(多くの場合は傷病手当金)」に合わせられるため、同時に手続きしたからといって収入が2倍になるわけではありません。ご自身の障害年金の目安額を知りたい方は、受給金額の目安ページもあわせてご確認ください。
実務でよくある「切り替えタイミング」の3つの具体的な事例
傷病手当金は最長で1年6ヶ月という期限があります。そのため、当事務所ではお客様の休職状況や体調、傷病手当金の金額を総合的に判断し、以下のような戦略的なタイミングで切り替えの手続きを進めています。
事例1:傷病手当金「終了後」に迅速に請求するケース
会社を休職したものの復職が難しく、退職となって傷病手当金の受給期間が完全に終了した段階で、障害年金を請求するケースです。
過去の時点(障害認定日)まで遡って請求できない場合、あるいはあえて遡らない選択をした場合は「事後重症請求(じごじゅうしょうせいきゅう)」という形式になります。この事後重症請求において最も注意しなければならないのが、「月をまたがないように迅速に請求する」という点です。
事後重症請求の障害年金は、法律上「請求書を年金事務所が受理した月の翌月分」からしか支給が始まらないルールになっています。そのため、手続きが数日遅れて月をまたいでしまうと、傷病手当金も出ず、障害年金の支給開始も1ヶ月後ろ倒しになるという「無収入の空白の月」が丸々1ヶ月分生まれてしまうことになります。
事例2:傷病手当金を「受給しながら」前もって準備するケース
退職後も健康保険の継続給付として傷病手当金を受け取りつつ、それと並行して「障害認定日(初診日から1年6ヶ月経った日)」に向けて前もって障害年金の請求準備を進めるケースです。
傷病手当金の期限が切れてから慌てて動き出すと、医師への診断書依頼や書類集めに数ヶ月かかり、やはり生活費が途絶える期間ができてしまいます。傷病手当金をもらえている安心感があるうちに、年金の準備を進めておくことで、無収入の期間を作らずにスムーズに障害年金へバトンタッチすることが可能です。
事例3:返還金の負担を避けるため「あえて遡及請求をしない」ケース
障害年金は、過去に遡って数年分の年金をまとめて請求できる「遡及請求(そきゅうせいきゅう)」という仕組みがあります。しかし、過去に傷病手当金をしっかり受け取っていた期間がある場合、年金が遡って決定した途端、その重複期間の傷病手当金を健康保険組合等へ一括で「返還」しなければならなくなります。
もし、計算した結果「傷病手当金の日額の方が、障害年金の月額換算より明らかに高い」と分かっている場合は、あえて過去の遡及請求はせず、「未来の分だけを請求する(事後重症請求などに切り替える)」という判断を下した事例もございます。
まとめ
傷病手当金から障害年金への切り替えは、健康保険と年金という異なる制度をまたぐため、当事務所では、お客様が金銭的に一番損をしない方法を個別のケースに応じて慎重に検討いたします。
傷病手当金からの切り替え・申請に不安がある方はご相談ください
「自分の場合はいつ動くのがベスト?」「いくら返還になる?」など、休職中・退職後の不安に障害年金専門の女性社労士が温かく寄り添い、丁寧にお答えします。
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初めまして、社会保険労務士の神尾 愛です。 上野・錦糸町・北区の下町エリアを中心に、障害年金の申請を専門に行っています。(※ご相談は全国対応です)
障害年金の手続きは複雑で、体調が優れない中では「何から手を付ければいいのか」と、途方に暮れてしまう方も多いと思います。一人で頑張る必要はありません。まとまらないお話でも大丈夫です。もし障害年金のことでお悩みでしたら、まずはお気軽にご相談ください。

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